たった一人の狂気
梅田望夫/茂木健一郎『フューチャリスト宣言』を読む。
タイトルがいかにも茂木健一郎な感じで、ぼくは彼のそういうセンスに時々近寄りがたいものを感じてしまうんだけど(笑)webと脳の世界の第一人者である二人の対談はやはり刺激的だ。
梅田「日本企業の研究所の若い人たちだって、ユーチューブを一年以上前から見ているわけですよ。でもユーチューブを見た瞬間から、俺たちはやっちゃいけないな、と彼らは思ってしまう。その周辺でいろいろな可能性があるのはわかっていてもね」
茂木「自己規制してしまう。法律のことを考える」
これはぼくにもあてはまる。自分のサイトやブログにみんなに見たり聴いたりして欲しいものがあってもすぐ著作権管理団体や訴訟なんて言葉が頭をよぎって画像や曲の引用はためらってしまう。この辺の「節度」ってやつがいかにも日本人的で、普段どれだけ「日本人的な」慣習を批判してても自分自身がそれにどっぷり洗脳されてることを思い知ることになる。
梅田「インターネットの性質というのは極めて破壊的、アナーキーなので、そこに踏み込めなくなった。「なぜ日本の電機メーカーがインターネットに踏み込めなかったか」という原因は、すべてそこにあるんですよ。何かをやろうとすると、必ずいまの社会を支えている仕組みに触るから、そこで最後まで行ってやろうという狂気が生まれてこない。アマゾンやeベイだったら、小売・流通の仕組みが壊れるとか。ユーチューブだったらメディアが壊れるとか。壊して何かをやろう、あるいは壊して新しいものを創造しようということとインターネットの性質はイコールなんです」
以前紹介した「サイバースペース独立宣言」にも謳われているようにインターネットは基本的に誰もが誰からも制約を受けずに利用できることが魅力だ。もちろんそれは悪意のある人間が利用すれば多くの人に害をもたらすための道具にもなりうる。しかしそれも実は人間自身が備えている性質であってネットはそれを増幅しているに過ぎないし、それこそ鉄人28号のように使う人間によって正義にも悪にもなりうるから魅力的なんだって話もある。そしてその時代には破壊行為にしか思えなかったことが後の時代の大きなターニングポイントのきっかけになることだってあるだろう。
茂木「グーグルがユーチューブを2000億円近くで買ったときに、日本のメディアもアメリカのメディアも、「潜在的には法的問題をかかえるメディアを買ってしまった」と報じました。しかしグーグルはあれを確信犯でやっているな、と思います」
梅田「ユーチューブ自身が確信犯だし、グーグルはもっと確信犯です」
常に時代を変えていくのは彼らのような人たちで、いつもガチガチの安全パイを探してる人たちからは決して現れないだろう。
梅田「僕はシリコンバレーにいていつも思うのは、たった一人の狂気で世の中が動くということです。誰かがやってみせれば、真似をするのは誰でもできるから。たとえばグーグルの創業者は二人とも狂気の人でしょう。アップルのスティーブ・ジョブズも狂気の人でしょう。「何でこの人はこんなにバカみたいに一つのことに熱中して朝から晩までやっているんだろう」ということを、僕はいつかネットの上でやってやろうと思っているんです」
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「ウェブ人間論」(梅田望夫・平野啓一郎)に続き、今回は茂木さん相手の梅田対談。
ネット世界における輝かしい未来創造の魅力と可能性が語り倒されます。
本書の場合は、基本的に... [続きを読む]
受信: 2007/08/05 20:56

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